月と負け犬 / 椎名林檎
2003年6月28日なんかテンション低い日だった。
低いときは顔にしまりがなく、なんだかどこか
緩んでいる。うれしくて緩んでいるならともかく、不安からきてることが
はっきりしている。それだけにすっきりしない。
一日はみじかいものだ、と昨日は思っていたはずなのに、今日は思ったほどすすまなかったり。
全部放り出して帰りたいような気持ちが出かけている。それでも仕事をする。逃げてみても仕方がない、というよりは、逃げる場所などありゃしないのだ。
頭の中は暗鬱な音楽が鳴り響く。
激情と困惑の渦。
やすみまであと何日・・とか考えるのも不毛な
感じでいやだった。
それでも笑ったり驚いたりがありながら
一日が終わる。
晩飯があり、そのあとチャットに出かける。
いつものところが誰もいなかったし、お目当ての相手はまだだった。
いなさそうなので今回の旅行の企画時に検討していた、北海道関係のチャット部屋にいってみる。
なかなか感じのよいところだった。やりながら、
なんでこのひとたちは、初対面なのにこんなに気安いんだろう?
なんて思ったりもした。まあ文字相手だからなのかもしれない。
やがてそこを離れて、いつものところへまた
顔を出すと、何人かが参加していた。
そのあとお目当てがログインしてきた。
静観していると、相手からはなしかけてきた。
(メッセンジャーで)
なにか重要な話があるとかだったが、とりあえず風呂に入り、
それから彼女のチャット部屋に出かける。
そこで、今日でチャット部屋が最後、という
話をきいた。気分が暗いせいか、たいして驚きもしなかった。
そして自然のなりゆきで俺がその部屋を引き継ぐことになる。
楽しい気持ちは続けていきたい。
そしてなにより、相手に出会う日まで人間関係
を育てていくこと、そのチャンスをみすみす逃すことはしたくなかった。
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